子犬のワルツ


今は娘。


始まってしばらくたつ野島ドラマ(彼は原作。脚本家で原作ってどんなんだ。プロットだけ?)


基本的にこれに関しては一話で「やんパパ」「牡丹と薔薇」系列のものだと解釈しました。
という時点で、正直マトモなドラマとして見る気はありません。
なので、人間の暗部を必要以上に強調して主人公とその周辺人物の「純粋性」を際だたせようと
する安易な脚本、すっとんきょうな展開につっこんだりはせず、ひたすら素材、つまりなっちの
存在感のみに言及します。


さて、なっちはすごく目が強くて、その意志の輝きが彼女の魅力の重要な点だと思っています。
なので、盲目という設定でどれだけなっちの良さを引きだせるか、疑問に思っていました。
(野島ドラマという点ですでに疑問だという点は長くなるので割愛)
盲目の人というのは、何かを見つめるということがないため、今までに見てきたドラマでも役者
たちは宙に浮いた視点、意味なく動く視線、といった役作りで盲目を表現していたように思えます。


私は放映前、こんな風に思ってました。


そんな風に定まらない視線のなっちは、そりゃかわいいのはあたりまえなんだけど、ちょっと微
妙なんじゃないの、せっかく素材いいのにさ。もっと普通のニコニコした女の子役でいーじゃん
……。


なっちはそんな自分の危惧をいともたやすくうち破ってくれました。
言葉を尽くしても仕方がないので、かの名言を。

な っ ち 天 使。

手を抜いてるワケじゃありません。ほんとに語らずとも見た人ならわかったはずです。
なっちは強いです。存在の力が強いです。
それ+演技力もアイドルという枠の中では充分。
野島の昔風でデフォルメしすぎた脚本世界の中で、さんざっぱらヒドい目にあい、表情を押さえ
込んでいるからこそ、ささやかな微笑み、ふとした感情の動きががキラッキラに光ります。
これはある意味、正解です。振り幅です。
ちなみに、この成功がなっち自身の演技力・存在感がなせる技であることは言うまでもありません。


引き合いに出してナンですが、石川さんが出た「乱歩R」。あれに関して、今までに語った言葉
の多くが、真逆の意味で当てはまります。
見た私はとても惜しいと感じたのです。ビジュアルの輝きは充分だったからこそ、演技力さえも
う少しあったら……陳腐な脚本を凌駕して、石川梨華の魅力を視聴者に見せつけることができた
のに、と。


見る前は期待と不安を覚えていたのですが、自分的にはこのドラマ、大肯定です。
軽いノリの現代風恋愛ものとかやらされるよりは、ずっとあってます。
モーニング娘。自体が、スポコンじみた昔懐かしい世界をいまだ体現しつづける永久装置なわけ
で(友情・努力・勝利的な)、この三文芝居「子犬のワルツ」は、エースなっちのソロ一発目に
ふさわしいドラマだと言えるでしょう。
もちろん、これにしっかりした本、というのが加われば完璧だったのですが、そこはこれから。


ブレーメンの音楽隊」といい、今年はドラマ当たり年の予感です。