そして生まれる


今は娘。

今回のハロモニ。はモノマネバトル。
全体的に芸人さんがいるせいもあってか、以前ほどグダグダではなかったように思えた今回。
娘。の物まねと言えば寒い(ベストコンディションの加護ちゃんのぞく)というのが私の中で定説
だったのですが、思えば遠くに来たもんです。みんな普通におもしろかった。似てはない人も、だ
いたいおもしろかったな。個人的に愛ちゃんと麻琴がちょい辛かったですね。やっぱり笑いには、
照れが天敵かと。


しかし、この物まねバトルで私の注意を一番引いたのは、芸達者にもほどがあるWや、長いのを
はじめて見て、本気でうるっと来そうになったミキティの節ちゃん、相変わらず素敵な弾けっぷり
カオリンではありませんでした。


キャメイです。


キャメイです。エリザベスキャメイです。キャメイです。
何度でも言いたくなります。


■ ここからは番組を変更して「キャメイコロ助」の魅力について、たっぷりとお送りします。


「さ、続いて白組は、亀井絵里キテレツ大百科コロ助のモノマネです。どうぞ」


圭ちゃんの紹介につづき。


すたすたすた。


そんな形容が浮かぶ、あんまりにも普通な出方で、キャメイ絵里は、ステージに降り立ちました。
さらに棒立ち。この時点で、嫌な予感がしました。服はそのまま、頭の上にはちょんまげ、背中
にはおもちゃの刀。正統派美少女が、完全に近所のガキんちょのチャンバラごっこスタイルです。
「アホの子」という形容が、私の脳裏をよぎります。視線が斜め上を向いています。明らかに「あ
らぬ方向」という呼び方をされる天井を、なぜ見る? キテレツがそっちにいるナリか?


娘。新人登竜門ともいえる「モノマネですべる」その気配がすでにまんまんです。しかし、私た
ちはもう知っています。キャメイがただでスベるわけがない。絶対に何か素晴らしいモノを見せつ
けてくれるはず!


そして出ました第一声!


コロ助ナリよ〜」


テレビの前で私は、膝から崩れ落ちそうになりました。
マネする対象の名前を自分で言う! しかも似てねぇ!! ダウトです! 激しくダウトです。
松浦亜弥で〜す」
とは根本的に違うのです。だって、キテレツ大百科コロ助が自分の名前をいう瞬間が果たして何
度あることでしょう!?


キャメイがもしすこしでも照れたなら、見ているこちらにもその恥ずかしさが伝搬し、いたたまれ
なくなってしまったことでしょう。


だがしかし!


「キテレツ〜。なんか新しい発明ないナリか〜?」


照れてません!
ちょっと笑ってしまったものの、キャメイは平然と「コロ助のモノマネ」をつづけます。


人さし指を立てるなど、いらぬ芸が細かいキャメイ

セリフのあと、おもむろに背中の刀を抜くキャメイ

それまでのぽやぽやモードが一気に反転!!

片足を前に出して、腰もどっしりと半身の体勢!

キャメイは本気です! ヤツはやる気です!!


と思ったら……。


「はじめて〜のチュウ きみとチュウ〜」


刀を持ったまま、突然歌いだすキャメイ! この動きは、細かく書き記さずにはいられません。


「はじめて〜の」「チュウ」の発音にあわせ、頭をかたむけカメラに向かって、キャメイスマイル
一発目! 「きみと」で、な、なんと、キャメイは刀をカメラに突きつけます。中段青眼のかまえ
です。視線も相変わらず真っ向カメラ目線! 何か企んでるよな、例の半笑いなのにどこか鋭い小
悪魔目線(長い)炸裂です。そして「チュウ」にあわせてくいくいっ、と絶妙なタイミングで上向
けられる刃! つまり、テレビの向こうの視聴者に!! 「あなたとチュウ」と言わんばかりに!!


※細かいとこですが「チュ・ウ」この短い言葉の間に、キャメイは刀を二段に動かしています!
すこぶる芸が細かいです。


そして最後。


フェンシングの試合を終えたかのように、優雅な動作でお辞儀をするキャメイ。「以上です」と異
様に小さく低い声でつぶやいたのに、みなさん気づかれたでしょうか。なぜか、最後は武士になっ
ていたキャメイ。そして、上げた顔に浮かぶ「やりきった」という表情。


私は理解しました。あれは、グダグダなどでは断じてありません。
徹頭徹尾、出てくる瞬間から始まっていた、空間芸術。イッツ・ア・キャメイワールド。


似てる似てないを別にしたら(それが一番重要なのに)完璧なのです。何がって、構成が。


あそこまでの効果を出すとわかっていたかはさておき、たぶんキャメイはかなり練習もして、時間
配分も考えたことでしょう。インタビューで「これしか……」と二度言いかけて「これは自信あっ
たんです」と言い換えているあたり、微妙だとわかっていても自信を前面に押し出すことによって、
笑いの方向での評価を狙ったのでしょうか。そのあたりのさじ加減は微妙なものの、意識していて
も無意識でもどちらでもオッケーですキャメイ! 個人的には、キャメイの笑いのセンスは、天然
と養殖がぴちぴちとせめぎ合ってるように思えます。


最後のMVP場面で本気で祈っていた場面なども大変グッド。
素晴らしかったです。昼寝の夢にキャメイを見るほどに。いつもと日記のテンションが変わってし
まうほどに。ちゃいこーですキャメイ




あと、ミュージカルの裏側でのれいなが、めっちゃくちゃかわいかったです。
タンポポのモノマネのあとのはしゃいだ回転。なんですか、あの動きは。こういった子ども部分の
発露がほんとかわいくて、変な言い方だけど、末っ子の貫禄が増してきたなあと思います。




こうやって、二人の卒業の寂しさが、六期によって癒されていることに、複雑な気分もしたりしま
す。自浄作用ばっかりどこまでも強くなって、目の前の彼女たちの愛しさに、ヘタでえげつないや
り口をごまかされて、私たちはいつまで、この子達を大好きでいられるのでしょうか。
大好きなまま、どこまでついていけるかなあ。